あたしの朝は、こうして始まる

 "あたし"のいる場所に、時間は関係ないと思う?
 そんなことないよ。

 電脳空間にだって、夜はある。
 夜更かししてサーフィンしている人もいて、それなりに混雑しているエリアもあるけど。
 ここはとても静かになる。夜間は、メインネットワークも休止していて。昼間には、めまぐるしいほどの勢いで飛び交うやりとりもなくて。

 私自身も。
 メインプログラムはお休み。管理プログラムだけを残して緊急用の回線だけを、オープンネットに接続して。
 "あたし"も眠る。

 そして朝は。
 オープンネットにつながった回線から、朝が来るのがわかる。通信関係のtrafficが増加しはじめる。夜間は切り離されていた閉鎖空間が、オープンネットへの扉をあける。"情報"が、ネットワークを拘束で飛び交い始める。

 それを、わずかだけれど外へ繋いだ、緊急用回線から感じ取って。朝が来たことを知る。


 そして。
「おはよう、YOU」
 起動する研究室のネットワークと、"ご主人"の声――。

 今日も、眩しいほどの1日が始まる。

2006/05/26 LIBRALY 1へ

(初出:会員制サークルエレメント会報No.9)
以前企画で書いた「時には、こんな一日。」のYOUちゃんのお話。
エレメントの会報で1p創作として出したものです。うっかりサイトにあげるのを忘れてました……。1年半くらい寝かしちゃった(^^;

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