時刻はもうすぐPM8:30
休日前のオフィスはみーんな揃って残業中。私も例外じゃなく。
時計の針とにらめっこ。
デスクの上には一束の書類。
これさえ片づければ4連休……!!》
さっきから、心の中ではこのフレーズを繰り返し。
連休の分、前倒しで片づけなくちゃいけない仕事はあるけれど、片づけてしまえばこっちのモノ。有給も取っての4連休は温泉に旅行する予定。
あと一束、デスクの上に残ったコレさえ片づけてしまえば帰れる!
《あと、15分!》
どういう訳だか、電車のダイヤには穴があって。8時47分の次は、通過の快速があって、その後の電車は9時8分になっちゃう。
20分も駅で待たされるなんて、冗談じゃないっ。
駅までは急いで7分、ロッカーに荷物を取りに行って身支度に3分。
《ぎりぎり間に合う……!》
残る書類は、決裁書類+付属資料。さっと目を通して、自分の判子を押して。
《よしっ、終わったー!!》
「係長、決裁お願いします」
自席を立って、係長のデスク上に書類を置く。
「了解、お疲れさん」
「じゃあ、私はお先に――」
“失礼します”と続けようとしたのに。
「あ。ゆーきさんコレもお願いします」
《……は?》
後ろから声をかけてきたのは加賀谷康、2年下の後輩。
差し出されたのはおっきなクリップで留められた書類の束。
「急ぎなので、悪いんですけど今日中にお願いします」
週明けには取引先に出したいんですケド結城さんにチェックしてもらわないと出せませんから。
にっこり笑顔つきで書類を渡され、いや、押しつけられる。
「じゃ、お先に失礼します〜」
「あ、ちょっと加賀谷!」
私の書類を押しつけて、加賀谷はさっさと帰ろうとする。
「なんだ加賀谷もう上がりかー?」
「えー、いいなぁ。康君手伝っててよー」
「やですよー。俺47分に乗れないと駅で20分待ちなんですからー」
さっさと帰っていく加賀谷。私の手に残された書類は……、これ、チェックに30分はかかるじゃないのっ。
「加賀谷ー!! こういうもんはもっと早く寄こせーっ!」
書類チェックが終わって、あたしが職場を出られたのは、PM9:20でした。
元々はサイトの13579カウントをゲットした、ごんたさんからのリクエスト作品です。
リクエストはそのまま「あと15分」ということでした。
最初は、やっぱりアクション系かなぁとか。あと15分で爆発が……とかそんなヤツをイメージ。
……でも私には書けないなぁ。とあきらめて。
次に考えたのは、あと15分で日付が変わるところなんだけど、日付が変わると効果がなくなる怪しげな薬(あるいは魔法のようなモノ)を売りつける男のお話。これは没って、でも必死に薬を求める人のイメージがあるのでどこかで書けたら書きたいかなぁと。
できあがりました「あと15分」は、日常生活の一場面になりました。
つたない作品ですが、楽しんでいただければ幸いです
※ 2006年、この作品のキャラクターから「恋歌」という作品が生まれました。
そして新たに「LIFE -LOVE is BEAUTIFUL-」というシリーズ作品としてスタートすることになりました。