今日も、月が昇る。
月が昇る頃、この場所は動き出す。
日が沈み、再び昇るまでの間だけ、門が開かれ。
あの人は、今日もいらっしゃらない。
必ず戻ると言ったまま。もう幾日が過ぎたのか。
大事なお役目なのだと、あの人はとても誇らしげに微笑って。
戻ってきたら、私をここから出してくれると、そう言った。
あの人は、まだ、もどらない。
桜の花が咲く頃までに、必ず戻ってくるからと、そう言っていた、あの人は。
花は咲き、散ってしまっても。まだ、戻らない。
あの人はいずこに。
今はいずこに。
――月は、どこにいても同じ月を見られるのだ。
そう教えてくれたのは、あの人。
外に出たことのない私に、いろいろなことを、教えてくれた。
今日も、昇る月を眺めながら、あの人を待っている。
「
呼ばれ、振り返り。もしかしたらと、はやる気持ちを抑え。部屋に向かっても。
待っているのは、あの人ではない。
そして今日も。
偽りの微笑を浮かべ、楽を奏で……。
私は、ここに囚われて。
飛び立てないかごの鳥。
格子の外には番人が。
今日も目を光らせる。
かごめ かごめ
かごの中の鳥は……。
作った当時に使用していた素材を見つけた時に、思いついたお話です。
「かごめ歌」の裏解釈って知ってます?
「遊女はいつになったら、遊郭から出られるのか」ってやつ。
その辺を思い出しながら。
当時のコメントで「ええと……。なんか、反動というか。勢いというか。私らしくないような……ものができてしまった……気がしてます(苦笑)」と書いてあったけど、今思うとそうでもないなー(笑)。
一応、三部作(?)1つ目です(あとは『草の庵を……』と『月下の調べ花の朝』)