瞳に、不思議なる物をも映し出す人々がいるという。
人と異なる瞳の色を持って生まれた人々を、エトルリーナの民は崇めた。
3.
駆けまわる使用人たちの足音と、呼び合う声がやむ間もない。
メンフィス侯爵家の若い夫人が、もうすぐ最初の子を出産する。
屋敷には、生まれてくる子供のために、新しく使用人が雇われ、子供のための遊具なども次々に運び込まれた。
気の早い親類などからは、すでに祝いの品が届けられ、生まれたばかりの子供がいる他の貴族家からは、気の早すぎる縁談話まで上がっていた。
そして。
夕刻響いた、新しい生命の声。
「おおっ、おおっ……」
生まれた赤子の父親、メンフィス侯爵は対面した赤子を見て、喜びの声を上げる。
「奥様によく似た可愛らしいお嬢様です」
出産の世話をした産婆がそういえば、
「おめでとうございます」
使用人一同が声をそろえた。
ただし。
メイド頭である、最年長の婦人が、続けて遠慮がちにこう言った。
「あのう、旦那様。お嬢様の瞳のお色なのですが……」
生まれた赤子の瞳の色は。
遺伝に関わらず、突然変異で生まれる、青の瞳。
稀色の瞳、とよばれるもの。
さらに。
その髪の色は。
何故か前髪だけが、生まれつき色を違えるという不思議を持っていた。
長いこと置いて3です。ようやく。やれやれ。