Aquamarine Dream.

静かに、静かに。

 暗い、暗い、海の底へ落ちながら。

 思い出したのは、ずっと昔のこと。

 太陽の光を浴びるのが、好きだった。
 姉たちから離れて、時折一人、岩場で遊んだりした。
 長時間、地上にいることはむりだったけれど。
 水をすくい上げるようにして、蹴り上げると。
 太陽の光をうけて、きらきら、きらきら。
 光りながら水面に落ちる水が、きれいで。
 いつまでも、そうしていたいほどに。


 だけど、それも。
 もう戻れない、過去の思い出。


彼女は海に身を投げた。


願いを叶えることができず、故郷に戻ることも出来ずに。

そうすることしか、選べなかった。

 ぷくり、ぷくり……
    ぷくり、ぷくり……

 落ちながら、溶けていく。
 何もかも。

 幸せだった、想いも。
 哀しいだけの、あの夜も。


幸せだったか?と問われれば。
それでも彼女は「幸せだった」と答えるだろう。

もう一度、人生をやり直すとしても。
ためらいなく、同じ道を選ぶだろう。

 彼を殺してまで、自分が生きようとは、思えなかったから。

 だけど。
 彼に出会えた事は、わたしの一番の幸せだった。

そして、誰も知らぬままに。
彼女は海に溶けていく。

叶わなかった「いつか」を夢に見ながら……。

2002/03/21 LIBRALY 1へ

サイトの9999カウントをゲットした、ごんたさんからのリクエスト作品です。
リクエストは「水」ということだったのですが。
「水」というのは、書けそうでなかなか難しいものでした。
最初に浮かんだイメージが、水に閉ざされた牢獄。
いくら何でも、それは他人様のサイトに差し上げる作品として、まずいよねぇ……。
と、あーでもない、こーでもない。と悩んだあげく。
こんなモノが、出来ました。


一応の方向性を決めてからも、細かい部分で悩みに悩んで、ずいぶん時間をかけてしまったのですが。
それなりに、満足する作品に仕上がりました。

ここからは先は、ネタバレー。

私が背景に置いたのが何かは、すぐにわかっていただけるかと思います。
「人魚姫」のラストシーン。
私は「人魚姫」のお話が、ずっと好きじゃなかった。
幸せになれない結末が、どうしてもイヤで。

今でも、幸せな結末を迎えるストーリーが、私は好きです。
悪い魔法使いの魔法や、呪いは、とければ良いと思うし。「お姫様は王子様と幸せに暮らしました」でお話が終われば良いと思う。
もちろん、現実はハッピーエンドのその先が大変だって事、今はわかるけど。
何事も幸せな結末というモノが迎えられればよいなと思い続けてます。

だけどね。
「結局人魚姫は幸せだったかな?」ということを考えたときに。
今だったら「幸せだったのかも」と思えるようになったのですね。

そんなことも、ちょっと思い出して。
この作品を書き上げました。

それにしても。最初は「恋愛要素ゼロのモノをかこう」とか思ってたりして。だからよけいに時間かかっちゃったんですよね……。

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